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2026/10/23 09:00

「デザインについて考える脳のスイッチが完全にオフになったことはない」
そう語るのは、foxx chairのデザインを手がけているプロダクトデザイナー・桑野さん。中学生の頃にスニーカーブームをきっかけに「物」に興味を持つようになり、以来、人々の暮らしを観察しながら数多くのプロダクト開発を手掛けてきました。「差別化」と「新規性」を大切にし、常に新しい価値を追求する桑野さん。その発想の原点やものづくりへの信念、そしてこれから目指す未来についてお話を伺いました。

桑野陽平 YOHEI KUWANO
1980年生まれ。多摩美術大学卒業後、無印良品に勤務した後、2010年に東京でデザイン会社「YOHEI KUWANO DESIGN STUDIO」を、2020年に中国で「碧染(上海)工業設計有限公司」を設立。世界のデザイン賞多数受賞。
― 桑野さんがデザインに興味を持った最初のきっかけを教えてください。
中学生の頃、空前のスニーカーブームをきっかけに、初めて「物」に興味を持つようになりました。当時、スニーカーができるまでの工程を紹介する雑誌を読み、製品が生まれる背景に「デザイナー」という存在がいることを初めて知りました。

きっかけとなった雑誌
― 大学ではどのようなことを学ばれていましたか?
人間のリアルな生活を観察し、そこから製品のアイディアへと繋げる「オブザベーション手法」を知り、夢中になりました。その時の研究や興味が現在の自分のデザイナーとしての礎になっていると思います。

大学時代の研究資料
― デザイナーとして大切にしている信念はありますか?
「差別化」や「新規性」というキーワードは常に意識しています。物が溢れている時代に、さらに新しい物を生み出さねばならない仕事である以上、これまでになかった発想や価値にこだわる姿勢は、デザイナーとして最低限意識するべき点だと思いいます。
― 普段どのように情報やアイデアを集めていますか?
具体的なアクションは特に挙げられませんが、おそらく日々の生活や活動の中で常に何かしらのセンサーが働いていて、仕事につながる情報やアイデアを無意識のうちに集め、頭の中で編集しているのだと思います。そのため、「アイデアが思いついた」という決定的な瞬間は少なく、ある仮説やアイディアの種がふと頭に浮かび、それについて考え続けるうちに、徐々に確信へと変わっていくことの方が多いです。

アイディアスケッチノート
―デザイン以外のことで、仕事に影響を与えている趣味や習慣はありますか?お休みの日はどのように過ごされていますか?
生活用品全般をデザインする仕事柄、日々のあらゆる行為や経験が、結果的に仕事に影響を与えているとは常に感じています。リフレッシュの為に映画を鑑賞したり旅行に出かけることはあっても、デザインについて考える脳のスイッチが完全にオフになったことは、これまで一度もないように思います。
―最も嬉しかったこと、逆に最も苦労したことなど、心に残る思い出や経験を教えてください。
デザイナーとして働き始めた20代の頃は、毎週のように徹夜をし、デザインのあり方や意義について深く悩むことも多かったです。その分、自分が手がけたものが実際に商品化された時の喜びは、ひときわ大きかったと記憶しています。
― これからの夢を教えてください。
これまではクライアントと消費者を喜ばせることが仕事と思い数多くの商品開発に携わってきました。しかし最近になって、自信を持って語れるデザインはそれほど多くないと気が付きました。これからの目標は自分自身も満足できる仕事をなるべく多く残すことですね。確信を持って生み出したデザインが結果的に長く生き残っていくのだと思います。
「人の暮らしを観察する」という姿勢。それは、人が家の中を自由に移動しながら過ごしていることに着目し、「持ち運べるのに美しい椅子」という新たな価値を形にしたfoxx chairの開発にも息づいています。今回のインタビューを通して、foxx chairの背景にある桑野さんの想いやデザイン哲学に触れることができました。
桑野さんありがとうございました。